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模倣宝石3

公開日: : まめ知識

あなたの身の回りにある宝石はダイヤモンドやルビー、エメラルドなど本物のジュエリーですよね。

しかし、中には、「偽物だけど素敵な宝石」もあるでしょう。

いわゆるアンティークなどは値が付けられないものもあります。

あるいは、偽物とわかっていても、デザインが素敵であったり、大切な人からのプレゼントであったなら、あなたの中ではその宝石はかけがえのないものになりますよね。

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模造宝石

ガラス、磁器、アクリル、木、貝、骨などを加工してできた装飾用の素材のことです。

鑑別が不要なほど明らかな偽物もこれに含まれます。

 

模造宝石が大きく発展したのは19世紀初頭の産業革命の勃興により資本家階級が出現してからです。

本物の宝石を用いたジュエリーは、それまで王侯・貴族など支配者層の所有物でしたが、経済的、時間的に余裕を持て余した新興富裕層が、こうした上流階級の暮らしぶりに目をむけ、それを模倣するのにさほど時間はかかりませんでした。

しかし当時の宝石産出量は現在よりずっと少なく、本物の宝石でこうした人々の需要が満たされることはなかったのです。

結果、比較的入手しやすい代替素材でそれらが模造され、こうした模造宝石が広く認識されるようになっていきました。

 

模造宝石というと本物の宝石に比較して劣ったと云った印象を受けますが、現在ではアンティークとしてしか目にできず、ゆえに本物顔負けの高値で取引されているものも多くあります。

なぜなら、こうした模造宝石に使用された素材は、本物の宝石に比べはるかに耐久性に乏しく、素材の劣化・老朽化により急速に滅失して作品そのものが微塵と消えたり、また素材の加工技術も全盛時は精緻を極めたものの、その後のずっと質の良い素材の登場などにより廃れてしまい、現在では再現不可能な作品も数多くあるからです。

しかしその一方で、高価な天然石を安価な素材で代替した、専門家の鑑識眼をも欺く模造宝石があることもまた事実です。

 

カットスチール Cut steel

鋼鉄製のリベットの頭にファセット・カットを施し、台座につけたりつなぎ合わせてネックレスに仕立てたりしたものです。裏面からリベットをかしめる形でジュエリーに装着します。

もともとダイヤモンドの見た目のみ真似たものとして登場しましたが、すぐに独自の発展を遂げるようになり、資本家階級から遡って逆に王族にまで愛用される広がりを見せました。

素材が素材だけに錆による劣化がひどく、全盛期だった19世紀の作品群は今日ではアンティークとしてもほとんど残っていません。

 

マルカジット/マーカサイト Marcasite

黄鉄鉱を加工して6面のカットを施し、宝石同様に台座に爪で固定したものです。

技術的には古代ギリシャから存在しましたが、18世紀中ごろからこれもダイヤモンド類似石として登場し、20世紀初頭には極限に至るまで精緻なレベルに発展しました。しかし今日ではすっかり廃れてしまっています。

これも素材が素材だけに、長い時間の経過により空中の湿気と反応し硫酸が滲みだす欠点があります。

なお Marcasite とは本来白鉄鉱を指す言葉ですが、これがなぜ黄鉄鉱を素材とする模造ジュエリーを指す言葉になったのかというと、18世紀当時は黄鉄鉱と白鉄鉱が厳密に区別されていなかったことによります。

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ラインストーン Rhinestone / ペースト Paste / ストラス Strass / フォイルバック Foil back

素材はクリスタル・ガラスで、これで宝石を形作り、カットを施したものです。

あるいは、液体のガラスをカットした宝石の型枠に流し込んで固め、仕上げに磨いたものです。

ガラス中の鉛の含有量が多く、柔らかいのをペースト、少なく硬質のものをストラスと云います。

ペーストは1670年代、ストラスは1720年代より存在しますが、やはりダイヤモンド類似石として登場し、やがてそこから離れて18世紀には独自の発展を遂げます。フォイルバックはこれらの石の裏面に金属箔や色の着いた薄膜を差込んだり、膜を蒸着させたりして、光の反射(ダイヤモンドのファイア)の増幅や、カラーストーンを真似る技法で、この技法を用いて模造された石そのものもこう呼びます。

製品として今日まで存続しており、素材もずっと安価なアクリル樹脂や屈折率の高いキュービックジルコニアを採用するなど、現在も技術的発展が見られるます。

現在は素材の別なども含め一括りにラインストーンで呼ばれることが多いです。従来からのクリスタル・ガラス製品はスワロフスキー社のそれが有名です。

 

本物のダイヤモンドはもちろん、「本物か偽物か」にはこだわり過ぎずに、好きなものを身に着けたいものです。

 

引用参考:模倣宝石

 

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