*

「ホープ・ダイヤモンド」の伝説

公開日: : まめ知識

41020-01-640

「ホープ・ダイヤモンド」の伝説をご存知でしょうか? 宝石がお好きな方なら一度は耳にしたことがある「呪われたダイヤモンド」として名を馳せている、45.50カラットのブルーダイヤモンドです。およそ200億円の価値があると言われており、現在はスミソニアン博物館のひとつである国立自然史博物館に所蔵されています。その来歴には様々な伝説があり、伝説の多くは大幅に脚色されたものが語り継がれています。世界的な大ヒット映画「タイタニック」の劇中に登場した「碧洋のハート」は、このホープダイヤモンドをイメージしたものであると言われています。今回は、このホープ・ダイヤモンドの歴史と伝説を少しご紹介いたします。

ホープ・ダイヤモンドの特徴

まずは、ホープ・ダイヤモンドが他のカラーダイヤモンドと何が特別に違うのかを少しご説明いたします。
ホープ・ダイヤモンドは現在、その周りに16個、鎖に45個のダイヤモンドをはめ込んだプラチナ製のペンダントの中央を飾っており、そのクラリティはVS1(非常に良い)を誇ります。ダイヤモンドに紫外線を当てると発光するのは珍しいことではありません。(ダイヤモンドのうちおよそ3分の1は紫外線を当てると発光します)しかし、ホープ・ダイヤモンドに紫外線を当てると、赤く、しかも1分以上光り続けます。これは一般的なダイヤモンドでは起こらない現象です。現在のところ、この原理は解明されていません。
青い色になる原因は、不純物として含まれるホウ素が原因であることが解析の結果判明しましたが、ダイヤモンドが生成される地下深くではホウ素はほとんど存在しないとされているため、何故ダイヤモンドが生成されるときにホウ素が含まれたのかも、謎に包まれています。

ホープダイヤモンドの歴史と伝説

約112カラットのブルーダイヤモンドが、9世紀ごろ、インド南部のデカン高原にあるコーラルという町を流れる川で、農夫により発見されました。これが、ホープダイヤモンドの元となった「フレンチブルー」と言われるブルーダイヤモンドです。フレンチブルーは始め、1660年にフランス人のジャン=バティスト・タヴェルニエに購入されました。「呪いの伝説」では、このフレンチブルーはヒンドゥー教寺院に置かれていた女神像シータの目にはめられていた2つのうちのひとつであり、農夫がこれを盗んだことに気づいた僧侶があらゆる持ち主に呪いをかけたと言われています。購入者のタヴェルニエは購入直後に熱病で死んだことになっていたり、狼に食べられて死んだと言われていましたがそのような事実はなく、老衰で亡くなっています。

300caa113d7f3d08f9a9669530a4106c_s
その後、フランス王ルイ14世がフレンチブルーを購入し、カッティングされて約67カラットの宝石になりました。このころから「王冠の青」、「フランスの青(フレンチブルー)」、「ブルーダイヤモンド」と呼ばれるようになりました。フレンチブルーは現存していませんが、フランスにこのダイヤモンドの非常に詳細なスケッチ画が残されています。
ルイ14世がフレンチブルーを購入した頃から国家の財政は悪化していき、それがフランス革命の原因となっています。このダイヤモンドを受け継いだルイ15世は天然痘で亡くなったとされ、ルイ16世の妃、マリー・アントワネットも最期は処刑台の霞と消えました。これも「呪いの伝説」が真実味を帯びる要因になっています。
そしてフランス革命の最中、1792年にフレンチブルーは盗まれ、時効が成立する20年あまりが過ぎ、フレンチブルーはひっそりとヘンリー・フィリップ・ホープの手に渡ります。ヘンリー・フィリップ・ホープがなくなった後、3人の甥が10年以上に渡ってフレンチブルーを含む宝石の所有権を裁判で争い、その結果ヘンリー・ホープがこのダイヤモンドの相続人となりました。ヘンリー・ホープの死後は、妻のアデーレがフレンチブルーを引き継ぎ、1887年、ヘンリーとアデーレの孫であるヘンリー・フランシス・ホープがフレンチブルーを「ホープ・ダイヤモンド」と名付けることを条件に、アデーレの遺産類を相続しました。

f04b92ffcf23f0519fb8a2de70d53130_s
ヘンリー・フランシス・ホープは、アメリカ人女優のメイ・ヨーヘと結婚し、これが「呪いの伝説」を加速させる結果となりました。メイ・ヨーヘは15章からなる本を他の執筆者の協力を得て、その中に架空のホープ・ダイヤモンド所有者を追加しました。そしてその本をベースに映画を作らせヘンリー・フランシス・ホープ夫人として主演し、ここでも架空人物を追加し話を誇張しました。その結果、事実とは異なる「呪いの伝説」が吹聴されるようになったということです。

これが、ホープ・ダイヤモンドの名前の由来です。次回は、スミソニアン博物館に所蔵されるまでのお話と、最新技術を駆使した調査の結果明らかになった事実をご紹介いたします。

引用参考 Jewelry & Accessory NOTE

関連記事

147d1eff9fdf37fa3a4c023bb3136d34_s

アンクレットについて

アンクレットという装飾品を実際に持っている方はそう多くないと思います。 ネックレスや指輪ほど定

記事を読む

faf53c7268ac088355f1924bf84e9a0e_s

カラーダイヤモンドの歴史

世界初のダイヤモンドのカラーグレーディングシステムは、6世紀インドまでさかのぼります。このシステム

記事を読む

094c1c7f6491479cfd5ccaae7c2e3ee7_s

ダイヤモンドの宝石言葉ってご存知ですか?

ダイヤモンドの宝石言葉ってご存知でしょうか? パワーストーンにご興味のある方なら、知っていますよね

記事を読む

c5caf343942590af986283e86b9e3a35_s

ダイヤモンドと結婚式

ダイヤモンドは婚約指輪のイメージがありますね。 結婚指輪にもダイヤモンドをあしらったデザインも

記事を読む

emerald-1137413_640

宝石の処理について その3

宝石の見た目を向上させる処理、「コンビネーション処理」や「表面コーティング」をご紹介しました

記事を読む

c5f52db001291efd5eec3b96b7194c39_s

宝石の分類2

皆さんが好きな宝石は、どのような分類になるのでしょうか。 前回もお伝えしましたが、宝石の分類は

記事を読む

c139a97cfd0a3bcf28f7c82622f8db4f_s

貴金属について

アクセサリーに必要なものは、宝石はもちろんですが、貴金属も大切ですよね。 貴金属、ときいてしま

記事を読む

adfdcb0104611c7730f9925301c42e62_s

模倣宝石3

あなたの身の回りにある宝石はダイヤモンドやルビー、エメラルドなど本物のジュエリーですよね。 し

記事を読む

5819a9a4aa44129c7c8db35adb3247fa_s

ダイヤモンド類似石6

キュービックジルコニアはご存知ですか? 現在、ダイヤモンド風の宝石として浸透してきていますが、

記事を読む

d8a8c930de9cb38af904a7d35a1f72c0_s

有名な宝石たち

世界にはたくさんの宝石が存在しています。 そのたくさんの宝石の中でも、大きさや歴史的エピソード

記事を読む

47271f141aaec7250451b9cd1884561c_s
ダイヤモンドの物理的特性

ダイヤモンドは、ただ美しいだけではありません。 今回は、ダイヤモ

38ffad063989d1d70a2016a657ce879d_s
ダイヤモンドについて

皆さんはダイヤモンドという宝石について、どのようなことを知っていますか

b6d22282e8e42e51b219a3a04a5ee118_s
4Cについて

ダイヤモンドの品質には国際基準があります。 皆さんはご存知でしょ

fb9c490445f125774c7ef1b969c8d85f_s
ダイヤモンド類似石・カラーダイヤモンド

ダイヤモンドには、カラーダイヤモンドという種類があります。 これ

60405cfebae157fc0fb45866299ee78b_s
ダイヤモンド類似石・天然鉱物

ダイヤモンドの類似石と呼ばれるのは、加工されているものだけではありませ

→もっと見る

PAGE TOP ↑