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「ホープ・ダイヤモンド」の来歴

公開日: : まめ知識

前回は、ホープ・ダイヤモンドの名前の由来とその歴史についてお話しいたしました。今回は、そこからどのような経緯を経て現在のスミソニアン博物館に所蔵されることになったのかをお話しいたします。

転々と人々の手に渡るホープ・ダイヤモンド

ホープ・ダイヤモンドを手にしたヘンリー・フランシス・ホープとアメリカ人女優のメイ・ヨーヘ夫妻ですが、1896年にヘンリー・フランシス・ホープは破産してしまいます。そこでホープ・ダイヤモンドを売却するよう迫られますが、当時はヘンリー・フランシス・ホープには終身保有権のみ与えられていたため、裁判所の許可なしにはホープ・ダイヤモンドを資産として売却することができませんでした。5年後にようやくホープ・ダイヤモンドの売却許可が下り、その翌年29,000ポンドでロンドンの宝石商アドルフ・ウィルの手に渡り、アメリカのダイヤモンド商サイモン・フランケルが買い取り、ニューヨークに持ち込みました。その当時のアメリカドルで141,032ドルの価値があったと言われています。

ついに宝石ブランドの元に

その後サイモン・フランケルはホープ・ダイヤモンドをパリのソロモン・ハビブに売却しますが、ハビブも経営が悪化し負債がかさみ、債務弁済のためにホープ・ダイヤモンドをオークションに出しました。オークションでは宝石商のローズナウが約80,000ドルで落札し、1910年、550,000フランで宝飾ブランドで有名なカルティエの、ピエール・C・カルティエに売却しました。カルティエはホープ・ダイヤモンドを装飾し直し、翌年、アメリカの社交界の名士エヴェリン・ウォルシュ・マクリーンに売却します。マクリーンは当初ホープダイヤを使わなかったと言われていますが、やがて社交の場でいつも身にまとうようになりました。また、ペットの犬の首輪にこのダイヤを付けていたこともあるそうです。

最後の持ち主の元へ

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個人でホープ・ダイヤモンドを所有したのはマクリーン一族が最後となりました。1947年、61歳で亡くなりました。彼女は相続人に、自分の孫の将来を考えて今後20年間このダイヤを売却しないよう遺言を残しました。「呪いの伝説」によると9歳の息子が車にはねられて死亡し、娘は睡眠薬で自殺
、「マクリーンは教会で祈祷させたが一族全員が死に絶えた」とされるが、孫がいることでもわかる通り事実ではありません。2年後の1949年、相続人はマクリーンの債務の弁済に、ホープダイヤを売却する許可を得て、現在ではダイヤモンドの宝飾品で有名なニューヨークのダイヤモンド商ハリー・ウィンストンにおよそ1,000,000ドルで売却しました。ハリー・ウィンストンは10年ほどホープ・ダイヤモンドを個人のコレクションとして所有し「宝石の宮廷」と名付けたアメリカ国内での巡回展や、各種チャリティーパーティーで展示しましたが、売却はしませんでした。

アメリカの至宝

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1958年11月7日、ハリー・ウィンストンはスミソニアン協会にホープダイヤを寄贈したことで、ホープ・ダイヤモンドはアメリカの至宝となりました。そして約50年経った2009年8月19日、スミソニアン協会は国立自然史博物館創立50周年を記念して、一年間ホープ・ダイヤモンドをペンダントから外して単独で展示しました。そして翌年、2007年にフランスで発見された鉛製の模型や精巧なスケッチなどを参考にし、ルイ14世時代の「フレンチブルー」としてのホープ・ダイヤモンドのキュービック・ジルコニア製レプリカがフランス国立自然史博物館により3年かけて復元されました。そしてフランス革命中に盗難・破壊されたルイ15世時代の金羊毛騎士団用ペンダントとして復元され、フランスで公開されました。

最新技術を駆使した調査

ホープ・ダイヤモンドがスミソニアン協会に渡ったことで来歴の調査が繰り返されていましたが、最新技術を駆使したコンピューター分析調査の結果、革命時に行方不明になったフランス王家のブルーダイヤモンドが再カットされたものだとする従来の説を裏付ける結果が出ています。フランス革命前の宝石のスケッチ画、フランス王家の財宝に関する科学的な計測結果、さらにはコンピューター・モデルを用いて、ホープ・ダイヤモンドを1年以上かけて新たに分析し直した結果、ホープ・ダイヤモンドをフレンチブルーの中にぴったりと収められることが分かりました。これは、ホープ・ダイヤモンドの起源は1668年にインドで発見された112カラット強のダイヤモンドだとする見解を裏付ける分析結果です。

ハリー・ウィンストン50周年記念

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2010年、スミソニアン協会にホープ・ダイヤモンドを寄贈してから50年が経過したことを記念し、ハリー・ウィンストンが1949年から53年かけてハリー・ウィンストンが開催した「コート・オブ・ジュエルズ(宝石の宮廷)」展示会をニューヨーク五番街にあるハリー・ウィンストン本店にて再現させ、予告なしにホープ・ダイヤモンドを特別展示しました。ここでは340個もの長方形のバゲット・ダイヤモンドを埋め込んだ彫刻のようなリボンがホープ・ダイヤモンドを抱きかかえるように包み込んだデザインに特別にデザインされたものが展示されました。ハリー・ウィンストンは、ハリー・ウィンストン・ホープ財団を創設し、教育関連の慈善事業やスミソニアン教育機構に寄付することを公約に掲げています。

 

 

引用参考 Jewelry & Accessory NOTE

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