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宝石の処理について その3

公開日: : まめ知識

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宝石の見た目を向上させる処理、「コンビネーション処理」や「表面コーティング」をご紹介しましたが、これらの他にも「フラクチャー充填」または「キャビティ充填」、「加熱処理」などがあります。

フラクチャー、キャビティ充填処理

フラクチャー、キャビティ充填処理とは、1980年代に開発された、ダイヤモンドの見かけ上のクラリティを向上させる処理を指します。表面に達するフラクチャー(割れ目)やキャビティ(凹み)を見えにくくし、クラリティや外観、安定性を改良するためにする処理のことで、極端な例としては、宝石にわずかに重量を追加するために、ガラス、樹脂、ワックス、オイルなどで充填することもあります。充填する素材としては、ガラスのような固形物から油類などの液体まで様々な素材が用いられますが、ほとんどの場合は無色で、有色の充填材は染料に分類されます。

 

1. フラクチャー充填された宝石で最も一般的に見られるもの:

ダイヤモンド – 表面にまで達するフラクチャーがある場合は、鉛の含有量の高いガラスで充填されます。ダイヤモンドの外観を改良することが目的で、ガラスで充填することでフラクチャーが目立たなくなります。しかし、この充填したフラクチャーは目立たなくなっただけで、なくなったわけではありません。

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ルビー – こちらもダイヤモンドと同じく、表面まで達するフラクチャーがある場合はガラスで充填され、フラクチャーを目立たなくして実際よりも石が透明に見えるようにします。場合によっては、処理されたルビーの充填ガラスの量がかなり多苦なる場合があります。

エメラルド – エメラルドの表面に達するフラクチャーの充填処理は、精油や他の油、ワックス、エポキシプレポリマーなどの人工樹脂、またはUV硬化型接着剤を含む他のプレポリマー、ポリマーなどで充填されます。処理されたエメラルドの中のこれらの物質は安定性に差があり、石に残された充填素材の量は少量から大量にわたり様々です。

その他の素材 – クォーツやアクアマリン、トパーズ、トルマリン、その他の透明な宝石を含む耐久性のある宝石には、樹脂やガラスが使用されることが多いです。しかし、これらの石に対する充填処理は、他の処理法に比べてあまり一般的ではありません。

 

2. 耐久性への影響

充填処理をした石の耐久性は、充填材の耐久性に依存します。ガラスで充填すると、樹脂、油、またはワックスよりも硬くなります。空気圧の変化があったり、高温の場所に放置したり、化学物質に晒されたりすると充填物質が変化したり漏れ出たりする可能性があり、充填処理が施された宝石の外観に影響が及ぶことがあります。

 

3. 看破される可能性

宝石鑑定士が拡大して観察することによって、充填された宝石のほとんどは認識することができます。

 

4. その他

ダイヤモンド、ルビー、サファイヤ、エメラルドなどは取引でよく見られます。
高温に晒したり、気圧の急な変化(航空機の客室など)、または化学物質に晒すことは避けてください。特に、充填されたエメラルドは、炊事の際にお湯がかかることで損傷することがあります。

加熱処理

宝石の色やクラリティを改変させるために、宝石を高温に晒す処理のことを指します。

 

1. 加熱処理された宝石で最も一般的に見られるもの:

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琥珀 – 熱したアマニ油などの油にひたすと、本来の琥珀の色から暗いいらになり、素材がよりクリアな外観となる場合があります。琥珀に高温の油に浸すことで、円盤状にキラキラ光るスパングルと呼ばれるインクルージョンを多数発生させることができます。

アメジスト – 加熱することで、一部のアメジストに含まれている好ましくない褐色のインクルージョンを除去したり、過度にくらい石の色を明るくしたりすることができます。

シトリン – ある種のアメジストは、加熱することでシトリンに変えることができます。

ルビー – るつぼに入れて1000度ほどに加熱することにより、紫色の色味を取り除き純粋な赤色にすることができます。このプロセスにより、宝石の色調を薄く不透明にする「シルク」と呼ばれる微細な針状のインクルージョンを除去することもできます。また、加熱によってこのシルクインクルージョンの再結晶化を引き起こしてより顕著にさせることで、その医師により強いアステリズム(反射光によるスター効果)を生むことができます。

サファイア – サファイアもルビーと同じようにシルクインクルージョンの再結晶化や除去を行え、そして加熱することで石の青色をより鮮明にしたり、逆に青色を引き出すこともできます。

タンザナイト – ゾイサイトという、タンザナイトとして知られている宝石を含む鉱物は、褐色の成分を除去して強い紫がかった青色生成するために、低温で加熱されることがあります。

トパーズ – 黄色みのあるピンク色のトパーズを加熱することで、黄色の成分を除去する効果があることがあり、その場合はピンク色が強くなります。ブルートパーズの色を制御するためにも加熱されることがあり、元は無色であった素材が照射された後に加熱されると、望ましい青色に変化します。

トルマリン – 加熱処理によって濃い緑色の素材が淡色担ったり、他のトルマリンの色に影響を与えたりします。

ジルコン – 一部の赤褐色のジルコンは、強い青色などのようにより販売に向いた色を生成するために制御された環境で加熱されます。

 

2. 耐久性への影響

上記の宝石全てにおける加熱処理は、通常の取り扱い条件の下で、耐久性があり恒久的とみなされています。

 

3. その他

極度な高温に宝石を晒すと、通常よりもややもろくなることがあり、ファセットカットした尖った角とエッジを損傷しないように注意しなければなりません。

 

引用参考 宝石の処理について

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